安藤剛
Katashi Andoh

|
Profile
安藤剛設計室 代表
大分県豊後高田市界633-2 仁王台ハウス1F
1948 豊後高田市新町生れ
1971 九州共立大学工学部建築学科卒
1975 エグチ設計入所
1980 安藤剛設計室設立
1995 日本文理大学工学部建築学科非常勤講師、現在に至る
|
|

長湯のトイレ

高田中学校

AGハウス

花岡医院

仁王台ハウス



来の浦活性化センター

若宮のトイレ
|
以前、ここで、大分市で活躍する建築家・浅井康行さんを紹介した。彼の案内で、湯布院から遠くない長湯温泉を訪れた。私の全く知らない温泉町だったが、近年、大変繁盛しているという。そこには彼の手掛けた作品や、Team Zoo設計の公衆浴場施設などがあった。
町には、一本の川が流れて、風情のある町である。その川沿いを彼と歩いていて、ふと見上げると、RC打放しの小さな建物が崖の上に見えた。あれは何ですか、と彼に訊くと、公衆トイレだという。なかなかいいな…と思う。彼の知人の建築家・安藤剛さんの設計というので、「建築採集記」に載せようと思い、写真を撮る。余談だが、採集記の旅で撮ったトイレ作品は多い。この旅が終わると、多分、500件位は集まるだろう。トイレの設計は、地域で頑張っているアトリエ作家と呼ばれる建築家が参加しやすい地域コンペの対象でもあるから、かなりの傑作がある。丹下さんには悪いが、東京都庁を眺めるより、楽しい作品が多いのである。嘘と思うなら、1年ほどでも、全国建築行脚の旅に出ると判る。
そんなことで、浅井さんと別れて鏝絵のちりばめられた素敵な安心院町や、小さな町に石橋が60余りもある院内町などを楽しんで、3日後に、安藤さんのいる豊後高田に入った。
中津方面から高田の町に入って間もなくの街道沿いに、RC打放しのビルが見えた。安藤さんと電話で話した時に、丁寧に説明してくれたが、説明がなくても、取材対象として足を止めたであろう建物である。勿論、安藤さんの設計で、彼の事務所はその1階にあった。
安藤さんは、少し、もっさりとした、男ぽい雰囲気を持った人に見えた。話していて、初対面という印象を持たせなかった。
彼と町に出る。明るいインテリアカラーの外車に乗せてもらって、採集に出かける。贅沢な取材である。けれど、建築家の皆さんは、外車好きだなぁ…とは思う。多分、デザイン優先なのだろう。大分県では、辻さん、浅井さん、後藤さん、安藤さんと、4人の建築家の方にお世話になった。私は、建築家から建築家にパスされて、彼等の仕事や地域に潜む良質の建築を取材する事ができる。単なる一人旅では、こうはいかない。中央の建築雑誌に紹介されているものは、一握に過ぎないことが、改めて良く判る。
豊後高田は小さな、静かな町である。大した時間もなく町の中は見尽す。それから、遠く国東の方まで、安藤さんは案内してくれた。彼の作品で、最も良いな…と思ったのは、竣工間近の公衆トイレだった。またも公衆トイレで申し訳ないが、良いものは良い。事務所近くのマンションも良かったし、他のものも悪くはない。高田中学校は大きく立派だったが、彼としては、デザイン過剰で、私は好きになれない。彼の良さは「シンプル イズ ベスト」に尽きると思うのである。その中に、僅かに取り込まれた形、色のほど良さを承知すれば、彼は、稀有な建築家として認識されるだけの資質を備えているように思えた。その辺りの、彼の作品についての意見を、安藤さんに率直に申し上げた。彼は、弁解一つせずに、私の話を聞いてくれた。多分、彼なりの反省点が以前からあったからだろう。
この旅で、著名な建築家の作品もほとんど見た。安藤剛さんとどう違うかといえば、大して違わないのである。だだ、著名になれた「運」の違いだろう。それは彼に限ったことではない。何で、こんなつまらないものを作るのだろう、と思う著名建築家の作品も幾つかあるのである。著名建築家の作品の良いと思えるものは、著名になるきっかけとなった初期の作品に多い。ずっと上質であり続ける人は少ない。槇文彦さんや谷口吉郎さんは、それに価する建築家と思う。こけおどしの奇妙建築で目立つか、良質な作品で人を惹きつけたか、どちらも著名建築家への糸口とすれば、後者が望ましいと私は思うのである。
安藤さんは、後者である。著名になる必要はないが、なった方が仕事がし易いことは否めないだろう。ともかく、地域でリーダーシップを取って欲しいと願う。
安藤さんと別れて、国東の旅に戻る。晴れた空を鳶が旋回している。また、豊後高田に来よう、ここには安藤剛さんという優れた建築家がいるからだ。周囲の下世話に負けないで、良いものを残し続けて欲しい。若者とはいえないが、これから良い仕事ができるはずの歳である。再会を楽しみにしよう。最近、竣工写真の撮影はあまりしないが、この人の仕事なら年に1度位訪ねて、撮ってみたいと、珍しく思う。仲良しになれそうな人だった。
|
WORKS
1981 ビラージュ平和 福岡市
1985 ホテル清照 豊後高田市
1987 日出アベニュー 速見郡日出市
1991 ルミエール歯科 別府市
1992 都甲中学校 豊後高田市
1993 長湯のトイレ 直入郡直入町
1994 花みずきの家 速見郡日出町
1996 高田中学校 豊後高田市
AGハウス 豊後高田市
1997 花岡医院 宇佐市
1999 仁王台ハウス 豊後高田市
来の浦活性化センター 国東町
若宮のトイレ 豊後高田市
|
|